shinshin136’s blog

建築勉強中の日々を綴る日記ブログ

建築とエネルギー②

今回のエッセイ

内部のような外部 

 

 エネルギーとの別れを惜しむ(手放せないといった方が適切だろうか)現代においても、地域によっては科学技術に頼らない建築は存在する。特に顕著なのが東南アジアの建築群である。東南アジアはその気候上及び発展段階上、科学技術に頼るハコモノの建築よりも自然と共に生活するようなスタイルが根付いているように感じる。そういった生活はヒトが地球上の生物の一種に過ぎないと言うことを我々に再認識させると同時に、自然を支配・制御できるという驕りの上に成り立つ現状も浮き彫りにしている。自然と共に生きるという事がガラスのハコから自然を眺める事だと勘違いされている現代において、ヒトと自然・地球の関係を改めて認識させる東南アジアの建築について掘り下げていきたい。

 東南アジア・ベトナムで活躍する建築家VTN architectsのWind & Water Cafeは竹で構成されており、水盤に面したところなどを見るにつけても、サッシ等の内外の仕切りは存在しない。完全に外部と面した空間でありながらも居心地の良さを感じさせる、「内部のような外部」を形成している。他にもNaman Beach Barでも竹が使われており、サッシの類は存在しない。竹の持つ自然な表現とそれを束ねて構造材にしてしまう新しい表現も共通している。

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Wind & Water Cafe

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Naman Beach Bar

 

 この空間が「内部のような外部」として感じられるのはただ外部に開放されているという理由だけではない。その要因は空間が竹で構成されているという点にあり、それ故外部と面しているこの空間が自然の一部として立ち現れるのではないだろうか。もし柱と屋根がコンクリートや鉄骨で構成されていたら、自然の中に現れた人工的な建造物であるという印象を払拭することはできなかったであろう。純粋な木造でも真四角に加工された木から感じられる印象は、人工的なものであり、やはりこれほどの「自然らしさ」を実現することはできないはずである。一つだけ惜しむらく点をあげるとすれば、床と腰壁(高基礎)がコンクリートで構成されている事である。建築物が沈まないようにかつ傾かないように地盤を強固なものにしなくてはならないのは重々承知なのだが、やはり残念に感じずにはいられないものの、代替案があるのかと言われれば言葉に詰まってしまうのである。何か良い案はないものだろうか。