shinshin136’s blog

建築勉強中の日々を綴る日記ブログ

建築とエネルギー①

今回のエッセイ

現代建築に対する疑問

 

 鉄・ガラス・コンクリートが建築を発展させてきて数十年、世界規模の環境問題が建築においても自然・地球を考慮するように訴えかけてきている。それに対する建築の応答は、一言で言えばエネルギー消費を抑えるというものである。建築の施工段階から資材の無駄をなくし、建築が利用され始めてからも省エネルギーで満たされる空間を計画し、解体後にも資材を再利用するという効率化を図り始め、この一連の流れが世界的にも容認され始めた。この流れが建築を成長させていくのか衰退させていくのか、今はまだその過渡期に過ぎないのだが、なんとなしにうまくいかないように感じられるのは私だけだろうか。

 どうしてそう感じるのかを考えてみると、エネルギー消費を前提に建築が捉えられているという事実が、現代の増え過ぎた人口とすでに底が見えていると言われているエネルギー資源の問題と真っ向から矛盾してしまうためである。もはや全人類を何百年何千年と発展させてくれるエネルギーには頼れないはずなのである。現段階で頼れないは言い過ぎにしても、この先科学技術で快適な空間を設えることはできなくなるというのが目に見えているはずなのに、それでもなおエネルギー消費を前提に空間が作られることには疑問を懐かざるを得ない。エネルギーと共に衰退していくのか、エネルギーと決別し別の方法を模索するのか、その分岐点にいるのが現代なのである。

 そんな中で環境シミュレーションというものが建築の設計に取り入れられている。シミュレーションによって裏付けされた数値やグラフはなぜか物凄い説得力を持って我々に突き刺さる。エネルギーを節約したって結局はなくなってしまうという事実を巧妙に隠し、むしろなんだか環境に優しくて良いことをしている気分にさえしてくれる。しかし現在のこういった設計手法の本質は、代替エネルギーの発見や、エネルギー問題を解決してくれる世紀的な大発明を待っているような、そんな延命治療的なものに他ならないのではないだろうか。これが現代建築で良しとされている、エネルギーと共に衰退していく道である。この道の先に明るい未来が待っている可能性は極めて低いため、エネルギーと決別する道について考えることの方がよっぽど有意義で革新的なものではないだろうか。